11月 2023

保護中: 【第27回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」

電子辞書の不用意発言 1997年、橋本総理に随行して秋の北京を訪れた。この時は総理演説と記者会見の通訳と二本立てだった。このときから中国語通訳界でも同時通訳が採用されるようになり、ベテラン通訳者の高橋ゆかりさんもいっしょで心強かった。 講演会場は公務員の幹部養成を目的とする北京の国家行政学院。通訳ブースは大講堂のひな壇をはるかに見下ろす高い所にあった。 テーマは「新時代の日中関...

【第19回】手話通訳士への道「法令にみる手話通訳(士)のあり方と手話通訳士の危機的状態-その1」

連載の第6回、第7回で手話通訳事業の法的な位置(第2種社会福祉事業)づけを紹介しましたが、今回は法令から手話通訳(士・者)のあり方を取り上げてみます。 社会福祉法の手話通訳事業、身体障害者福祉法の手話通訳事業、障害者総合支援法の意思疎通支援事業の手話通訳関係事業(遠隔手話サービス)が法令の規定に規定する社会福祉領域における手話通訳事業です。この社会福祉領域の手話通訳事業は、税を財源としてい...

保護中: 【第9回】今日も苦し紛れ!放送通訳のブースから「~ 人称!人称!人称!~」

【会員限定コンテンツ】 10月下旬のこと。岸田総理が国会で所信表明演説を行いました。そこで述べたのが「経済!経済!経済!」です。私はこの3単語を聞いて真っ先に思い出したことがあります。時代をさかのぼることおよそ30年。イギリスのブレア首相が、”Education! Education! Education!” と連呼していたのです。大事なことを3つ並べて強調する。これぞ演説の要なのでしょう...

【12/3】第5回 投資家目線の企業分析~PBRって何だろう?【遠隔】

金融翻訳のスペシャリスト・中山桂さんの企業分析シリーズ第5弾。対象企業の事業構造や特徴を学び、「投資家は何を見ているか」を知ることでIR通訳者としてのレベルアップを図りましょう。 投資家目線の企業分析- シリーズ5回目となる「投資家目線の企業分析」は、少し趣向を変えて、バリュエーション指標の1つである「PBR」を取り上げます。東証がPBR1倍割れの企業に改善策を促したことも、海外投...

保護中: 【第15回】あの通訳研究って、実際どうなの?「戦争と通訳―紛争地における通訳者」

【会員限定コンテンツ】 10月7日、衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。パレスチナのハマスが、イスラエルを急襲、ロケット攻撃に始まり、戦闘員がイスラエル側に侵入、音楽フェスティバル会場から人質を拘束するなどの攻撃が始まりました。それに対し、イスラエル側は即時対応、反撃を開始しました。紛争が始まってから既に1ヶ月以上経ちますが、解決の糸口は一向に見えず、泥沼化している様相が毎日メディアか...

【第2回】匂いにまつわるなにやかや「ヒトが匂いを感知する仕組み」

こんにちは。 なかなかニットが安心して着れる気温にならず困っています、栗原です。 さておき匂いにまつわるなにやかや、第2回はヒトが匂いを認知する仕組みについてです。 ヒトが匂いを感知する仕組み 匂いの通訳?嗅覚受容体 隣の人の匂いの世界 香りの小話 ヒトが匂いを感知する仕組み 前回でそもそもにおいとはというお話をしましたが、ではヒトはにおいをど...

保護中: 【第26回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」

ゴルバチョフ氏訪中―断る勇気も必要 1989年5月15日、当時ソ連共産党書記長だったゴルバチョフ氏が北京を訪問した。1950年代後半からおよそ三十年続いた中ソ対立の歴史に終止符が打たれるのだ。この意義ある世紀の瞬間に備え、私たち中国語通訳者数人が、NHK総合テレビのフロアで待機していた。 突然、ディレクターから「今日鄧小平さんがゴルバチョフと会見するので、あなた鄧小平さんの同時通訳をやって...

保護中: 【第4回】こう訳すか、ああ訳すか、それが問題だ「訳文を「等価」の観点から見直す(3)」

今回は文法レベルでの「等価」について考えてみましょう。 日本語は非常にユニークな言語ですから、どの外国語を翻訳するにしても、その外国語と日本語の文法の違いが「等価」を実現する上で障害になりえます。ただ、一口に「文法の違い」といっても多岐にわたり、すべてを網羅することは不可能ですので、ここでは無生物主語の訳し方について考えてみることにしましょう。 英語では無生物を主語にすることはよくあ...

【第2回】フランスとレイシズム「アバヤ・パニック」

みなさま、こんにちは。フランスにおけるレイシズム(人種差別)について論じる本連載。二回目となる今回は、去る9月にこの国メディアで大きな話題となった「アバヤ」(「アバーヤ」とも表記される)について。以下、本文です。  発端は、秋からの新学期が始まる直前、教育相ガブリエル・アタルが発表した政府方針だ。それによると、本年9月から全公立学校においてアバヤ(主にアラビア半島地域で女性...

【第5回】通訳留学奮闘記~梨花女子大学校通訳翻訳大学院編~「通大生の夏休み、そして新学期スタート!」

34歳でハングル文字から韓国語学習をスタートさせ40歳を目前に韓国の通訳翻訳大学院(=通大)に入学した私が、「通訳のための海外留学」のリアルな実態をお届けします。 今回は「通大生の夏休みの過ごし方」についてです。 あゝ“楽しい”夏休み 6月下旬の期末テストとレポート提出を終えてから8月末までの2か月余り、実に“楽しい”夏休みを過ごしました。カッコ付きの“楽しい”となったのは、「...

【第20回】通訳なんでも質問箱「逐次通訳におけるリテンションの向上」

「通訳なんでも質問箱」は、日本会議通訳者協会に届いた質問に対して、認定会員の岩瀬和美と山本みどり(プラスたまに特別ゲスト)が不定期で、回答内容を事前共有せずに答えるという企画です。通訳関係の質問/お悩みがある方はぜひこちらからメールを。匿名で構いません。 Q. 逐次通訳におけるリテンション力をアップしたいのですが、効果的な勉強法を教えてください。私はリテンションが苦手で、訳を落としてしまい...

【第2回】薬事の通訳ー医療機器を中心に 「規制の基本的考え方を理解する」

第一回で取り上げた内容のなかで、リスク・ベネフィットバランスという考え方がありました。リスク・ベネフィットバランスとは、医療行為にかかわらず、ある行為をすることで生じるリスクとベネフィット(便益という場合もあります)のバランスを比較し、その行為の正当性を検討することです。 連載第二回では、このリスク・ベネフィットバランスが、実際の規制にどのように用いられるか考えます。 ・審査の考え方...

保護中: 【第5回】安全保障と防衛の日英通訳「米国装備品の輸入と次期戦闘機の共同開発」

【会員限定コンテンツ】 空の防衛を担う日本の戦闘機はF2、F15、F35の3機種ですが、このうちF15の能力向上や最新機種のF35は、FMSというしくみを使ってアメリカから輸入しています。一方で2035年頃から退役が始まるF2の後継機である次期戦闘機は、日本がイギリス、イタリアと共同開発をしています。今回はFMS調達が抱える課題や、防衛省が自国開発に力を入れている背景について解説します。 ...

保護中: 【第25回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」

第Ⅲ部 通訳奮戦記   会議通訳者とかけて花火と解く、その心は?一瞬の勝負 夏の風物詩といえば、花火。だが、中国では、むしろ冬の旧正月、春節の時など家々の前で子どもたちが爆竹や花火に興じる。いま都会ではあまり見られなくなったようだが、二十年ほど前中国を旅したとき、農家の窓から漏れている薄暗い明かりとは対照的に路地裏の花火が光っていた。 1990年代「世界花火シンポジウム」が開か...

【第18回】手話通訳士への道「ろう者の国民主権の現状と手話通訳士(者)の職業病」

1.目指す社会と未熟な社会 公務員である手話通訳士・者は当然のことながら、第5回で紹介したように、第2種社会福祉事業に規定する手話通訳事業の原資は税なので、業務上民間で活躍する手話通訳士・者も「憲法の目指す社会の実現」に責任を負うことが求められています。 その責任とは、「憲法とは、国民の人権を守るためにあるというのが世界の常識」(監修上田勝美『13歳からの日本国憲法』かもがわ出版、2...