【第3回】通訳・翻訳学習記-ミドルベリー国際大学院編「ついに1年生の授業を受け始める」

皆さん、こんにちは!丹羽つくもと申します。

1回目に続いて、私が現在通っているミドルベリー国際大学院 (Middlebury Institute of International Studies)についてご紹介させていただきます。2回目はクラスメイトのニック・コンチーさんが、入学するまでの準備や、モントレーでの生活について説明してくれたので、3回目となる今回は、ついに、授業の内容について書いていきたいと思います。今回も、どうぞよろしくお願いします。

Welcome Weekとオリエンテーション

ニックさんの記事にもあった通り、私たちの入学手続きはコロナ禍であったために通常とは違うところが様々でした。学校からは、2020年6月頃に、秋学期の授業は全てオンライン・リモートとなることが発表されました。それを元に、予定通り入学・進学するか、一年間先延ばし(Defer)するかを決めることができました。私はすでにステップアップの決心が付いていたので、迷わず入学の方向で進んでいきました。しかし、学生ビザの取得が難しかったり、空いている貸家が見つからないなどの理由で、やむなく先延ばしにした学生たちもいたようです。(モントレーの家探しの難しさについては、ニックさんも書いていました。しかし、2021年秋に新しくMIIS学生寮が出来たため、少し楽になったと思います。)

ほとんどの学生は、入学前に最低一度はモントレーを訪れて、家探しをしたり、キャンパスツアーや模擬授業に参加したりすると思うのですが、私たちの学年はほとんどそれを行った人がおらず、8月のオリエンテーションに臨みました。学校の様々な部署や図書館、学生用サービスなどについては、リアルタイムの説明会もありましたし、好きな時間に見られるモジュールも用意されていたため、簡単に理解することができました。また、他の学部の新入生とも、オンラインフォーラムやCohortと呼ばれる班制度などで交流することができ、オンラインの環境でベストを尽くしたと思いました。(カリフォルニアはアメリカ西海岸時間なので、ヨーロッパやアフリカ、アジア各国から参加していた学生は、時差が結構きつかったようです。これだけは何ともなりませんね・・・。)

ついに授業に出席!

1年生の1学期目は、会議通訳 (Conference Interpreting、通称CI)、通訳翻訳 (Translation & Interpreting、通称TI)、翻訳 (Translation、通称T) の専攻に関わらず、同じ必修科目を取ります。それが、翻訳、サイト・トランスレーション(通称サイトラ)、逐次通訳です。この3科目を、英語→日本語、日本語→英語をどちらも履修するため、これだけで6クラス、12単位となります。1学期に履修できる単位数は最高16単位までとなっており、選択科目として、翻訳テクノロジーやローカリゼーション、C言語の通訳・翻訳クラス、他学部のクラスなどを取ることもできます。私は、異文化理解 (Intercultural Competence)のプログラムに興味があったので、その分野での選択科目を取っていました。

翻訳やサイトラのクラスでは、初日から力試しとして短い課題をクラス時間中に行ったりしたため、毎日ドキドキでした。右も左も分からず、全く会ったことのないクラスメイトと一緒に授業を受けるのは緊張でしたが、後日話してみると、緊張していたのは私だけではありませんでした。(当たり前ですね。)

オンラインでのオリエンテーションサイト。ここで初めて他の新入生と交流しました。

1学期目は、同時通訳は行わず、逐次通訳のみ行いました。まずはメモも取らず、お互いの自己紹介や、好きな映画や出身大学の紹介などについて書いてきたスピーチを通訳してみました。通訳の演習にはもちろん、お互いのことを知るのにも重要な時期だったと思います。中間試験を過ぎた後からは本格的にノートテイキング・メモ取りの方法を模索し始め、一般的な話題のスピーチを訳出するようになりました。セグメント毎に取ったメモの写真をグループチャットで共有し、先生方やクラスメイトからコメントをいただくことも多くありました。

Mega Consecに参加

1年生の1学期目に学んだ逐次通訳の集大成イベントが、毎年恒例のMega Consecです。各言語の通訳がペアを組み、他の言語のペアと一緒にグループを作ります。私たちの場合は、日本語ペアと中国語ペアでした。そして、ペアの一人がスピーカー、もう一人が通訳となって、スピーカーが日本語で話した内容を通訳が英訳し、その英訳された内容をもう一つのペアの通訳が中国語に訳し、その内容について中国語のスピーカーが回答して、また折り返す・・・ということを、2時間ほど行うイベントです。実際のクラスでは、使われている言語が全て理解できるので、「通訳に頼る」という場面に遭遇することはないのですが、このイベントでは通訳の重要さが身にしみました。また、他言語の通訳・翻訳学部の学生と交流する数少ない機会でもあり、とても貴重でした。

Mega Consecで知り合った他言語の学生たちと、練習を重ねるようになりました。

以上、今回は1年生の1学期目について書いてきました。次回は、またニックさんに交代して、2学期目について書いてもらいます。(ついに同時通訳の授業が始まる、重要な学期です!)次回もどうぞお楽しみに。お付き合いいただきありがとうございました!


丹羽 つくも Tsukumo Niwa

2020年より米ミドルベリー国際大学院モントレー校(MIIS)在籍。10歳から海外子女として育ち、現在は米国在住。自動車部品メーカーにて社内通訳として3年間勤務した後、会議通訳者を目指してMIISへ進学。第3回 JACI 同時通訳グランプリの学生部門でグランプリを受賞。

LinkedIn