【第3回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「時短家事」

同時通訳をしているとき訳語に詰まると非常に焦ります。たとえ数秒間でもとてつもなく長く黙っているように思えるのです。あとで自分のパフォーマンスを聞き直してみると、黙っていたのはせいぜい2秒ぐらいで、聴衆としてはさほど気になりません。けれども本番中の沈黙はコワイのですよね。一方、日常生活での時間の感覚はまた異なります。「気がつけばネットサーフィン」で数十分も費やしてしまうのです。時間というのは主観的なものがあるのでしょう。

今回は「時間」をキーワードに「時短家事」のご紹介です。料理、洗濯、買い物、掃除の4分野から見てみましょう。

1.料理

  • 行きつけスーパーを決める

私の場合、行きつけのスーパーは自宅周辺の3店舗と決めています。一つは駅の改札口近くの小型スーパー、もう一軒は自転車で行ける大型店舗、もう一つはPETボトルのリサイクルができるお店です。用途によって使い分けています。日本の場合、どのスーパーも商品配列がほとんど似ています。入り口から「青果→魚・肉→乳製品」が壁沿いにあるのです。中央の棚には乾物や家庭雑貨が配置されています。この構造を覚えておき、買い物リストもこの配置通りに歩けるよう書いています。

  • マイバッグ持参

国連によるとプラスチックによる世界の海洋汚染は深刻さを増しています。現在、イギリスを始め世界では60か国以上がレジ袋の禁止や課税に動いているそうです。私も数年前からマイバッグを持参しているのですが、実はこのバッグが時短に大いに貢献してくれると感じています。愛用しているのは、レジかごサイズのマイバッグです。

買い物時のポイントは「カートの使用」。カートの上と下に店内かごをセットします。「重い物を上段」「軽い物を下段」に入れるだけです。会計時に持参したマイバッグをレジ前のかごにセットし、「上段かご→下段かご」の順に出します。このようにすれば、レジ係の方が重い物から詰め、軽い物(卵含む)は上に載せてくださいます。マイバッグを持っていなかったころは、大量の買い物を自分で詰めるだけで数分間費やしていました。これなら会計終了後、すぐにお店を後にできます。

  • 1週間分の献立を決める

栄養バランスを考え、私は1週間分の献立を毎週金曜日に決めています。ワードでフォーマットを作り、献立や必要品などを書き込める紙を作っているのです。メニューはネットのレシピサイトやスーパーで無料配布している月間レシピ集なども参考に決めます。一週間のうち、肉、野菜、魚が主菜となるようにメインディッシュを決め、サイドディッシュを考えます。週末にまとめ買いをしたり、下ごしらえをしたりしています。

2.洗濯

  • 夜洗濯

我が家は基本的に夜に洗濯をします。これは私が早朝シフトで不在になることが多いのと、マンションの上層階に住んでいるため、夜でもベランダに干せるためです。夜は一日の疲れが多く、原稿執筆や仕事準備等、知的活動が私の場合はできません。よって、体を動かす家事を入れるようにしており、洗濯もそのひとつなのです。

  • おススメ・ガス乾燥機

洗濯機への入れ方にもルールを決めています。物干しサークルに干すものは洗濯ネットに入れる(よって我が家にはネットが複数あります)、ガス乾燥機に入れるタオルなどはそのまま、という具合です。ちなみにガス乾燥機は20年近く使っており、家族4人分のタオルなどは40分もあればフカフカに乾きます。梅雨時なども大いに助かっていますね。おススメしたい時短家電です。

  • ハンガー干しにもルールを

クローゼットに吊るせるシャツなどはハンガーで干し、乾いたらそのまましまいます。竿にかけるときも「自分のもの」「子どものもの」という具合に各自ひとまとめにします。こうすることでベランダから取り込んだらそのまま部屋へ持っていけます。ちなみに洗剤は何年も前から同一メーカーの同一タイプを使用しています。あれこれ悩み始めると私の場合はきりがなくなるからです。

3.買い物

  • 買い物を分けて考える

日用品の買い物は「リピートするもの」と「一時的・季節的なもの」と分けて考えるようにしています。リピート品の場合は在庫量も決めておきます。箪笥の肥やしにするのはもったいないですので、我が家は「現役アイテム」と「予備1点」だけです。シャンプーやスポンジ、洗剤などがその類いです。少し値段が張る化粧品の場合は在庫を持たず、そろそろ終わるかなというころにネットで注文しています。

  • 欲しい物はあらかじめ手帳に

一時的・季節品の場合はシーズン前にあらかじめ欲しい物を手帳に書いておきます。たとえば「夏用の白Tシャツが欲しい」と思った場合、早めに手帳の7月ページに書き込むのです。こうすることで、夏が始まる前に出先で探すという意識が生まれます。私は人混みが苦手かつ「わざわざ洋服を買いに行くのが大変」というタイプです。よって、あらかじめ手帳にメモすることで、仕事の合間に探せるようにしています。

  • エキナカの活用

私にとっての時短買い物エリアはもっぱら「エキナカ」です。利点としては「電車の時間が決まっているため、悩む時間に限りがあること」「品数が大型店舗と比べて少ないため、限られた選択肢の中から選べること」が挙げられます。試着してみて気に入ったならその場で色違いも購入します。この夏は電車の乗り換え5分間でスカートを一着買いました。根拠のない(?)達成感を味わえました。

4.掃除

  • ハンディクリーナーが便利

我が家ではまとまった掃除を週末におこない、それ以外はスティック型のハンディクリーナーで目立つ汚れを吸い取っています。掃除は始めるときりがありませんので、汚れもある程度は仕方がないと割り切っています。これまで何台か掃除機を買い換えてきましたが、私にとって一番使いやすいのは「だるまのような本体」にホースが付いているタイプ、しかも紙パックです。これまでフィルタータイプも使ってみたのですが、ごみ捨ての際のホコリがどうしても私は苦手です。自分が使うものですので、世の中の流行よりも自分が使用して心地よい物がお勧めです。なお、我が家はマンションのワンフロアですので、掃除機に長い延長コードをとりつけ、一度コンセントに差し込んだらそのまま一気に掃除ができるようにしています。

  • 5分だけ掃除する

これとは別に毎朝「5分掃除」もしています。タイマーを5分間だけセットし、ひたすら気になるところを掃除するという方法です。ハンディタイプのワイパーでホコリをとったり、窓の桟をティッシュでふき取ったりという具合です。ポイントはタイマーが鳴ったら終えること。「ついでに」と欲を出してしまうと、翌日は「昨日やったから今日はお休み」と言い訳したくなります。キリの良いところでやめるのが長続きの秘訣です。

  • プロに一任

「どうしても自分では無理」という箇所はプロに頼むのも一案です。かつて私はレンジフードを掃除せねばと思い立ち、手帳に書き込みました。とある年末のことです。ところがその日、取り組めなかったため、翌日に「フード掃除」と転記。それが続くこと半年でした。結局、「6か月たっても取り組まない=自分には無理。要は苦手だということ」と気付きました。そこでプロの方に来ていただいたのです。わずか数時間でレンジフードはピカピカに。お掃除中、私は別室で通訳業務の予習をしていました。時間とお金をどうとらえるか、その大切さを感じた次第です。

以上、今回は時短家事について記しました。みなさまのお役に立てれば幸いです。

 


柴原早苗(しばはら さなえ)

放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳業に従事。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。

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