ライフハック

【第24回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「ホントにマルチタスクで良いの?」

通訳の業務を依頼されると、私の頭の中ではボクシングのゴングが鳴り響きます。「さあ、準備開始!」となるわけです。準備項目だけでも実に沢山。単語リストの作成、登壇者のプロフィール下調べ、登壇者の著作や学術誌の記事探し、登壇者の講演が動画サイトにあればそちらのチェックなどなど。もちろん、当日の発表原稿やスライドがあればそれらもくまなく読み込みます。当該の仕事「だけ」に集中できれば良いのですが、大抵の通...

【第23回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「自分の思いを育む~書くことを通じて~」

通訳の仕事をしていると、さまざまなトピックに触れられますよね。私自身、この業務がなければおそらく出会わなかったであろう分野がたくさんあります。医学、最先端技術、国際政治、ノーベル賞、大統領選挙などなど数知れず。仕事のたびに猛予習をして臨む、そしてその世界の著名な方々のお話を訳させていただく。本当にありがたい職業だと思っています。 こうして多様な考えや価値観に触れられるのは恩恵です。でも、私...

【第22回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「海外ニュース、斜め上の楽しみ方」

あっという間に新年度となりましたね。ということは、2023年の残りは4分の3!ちなみに「年度」は英語でfiscal yearですが、私は通訳者デビュー当時、「年」と「年度」を混同していました。他にも「4分の3」(three quarters)などの分数が同時通訳現場で出てくると今でも緊張します。この仕事はとにかく勉強が永遠に続くのだとしみじみ思います。 さて、今回のライフハックスでは、日ご...

【第21回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「やらないことを決める」

2023年になりました。昨年も本コラムをお読みくださりありがとうございます。本年もみなさまにとって少しでもお役に立てるような情報を執筆したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします! さて、新年と言えば気分も心機一転。色々とヤリタイコトも出てきますよね。私は手帳の余白ページに「やりたいことリスト」を設けています。買いたいもの、観たい映画や美術展、出かけたい場所等々です。特に期限を設...

【第20回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「実務家教員は工夫がすべて」

通訳学校や大学などで教え始めてずいぶん年月が経ちました。私は大学時代に社会科と英語の教員免許をとるも、実習は社会科だけ。学生時代は様々なアルバイトをしたものの、塾講師経験は皆無でした。よって、いざ英語や通訳の指導を始めても、最初のうちは大いに戸惑いましたね。 現在は文科省の方針で、大学の正教員になるには原則として博士号が必要です。一方、実務家教員の採用は増えています。そこで今回は通訳業とい...

【第19回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「やっぱり備えておくが吉」

7月上旬に起きたKDDIの通信障害。読者の中にも対応に追われたという方がおられるのではと想像しています。幸い私は別キャリアでしたが、お世話になっている知人が大変な思いをしたとのこと。今の時代、スマートフォンですべてが完結できますので、どこかで不測の事態が生じると様々な影響が出てしまいますよね。 そこで今回は、「やっぱり備えておくが吉」と題して、いざという時のために必要なヒントをご紹介いたし...

【第18回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「ホテル活用術」

この2年間、会議通訳もセミナーも授業もオンラインが主流となり、「交通機関を使って移動をして、現地に宿泊する」という機会がめっきり減りました。確かに、「自宅にいながらにして通訳や指導をできる」のは便利です。合間に家事をしたり宅配便を受け取ったりできますし、ラッシュの電車にもまれることもありません。でも、出張や旅というのは、現実から離れることができます。普段見慣れない光景を目にするだけでも新鮮な気持...

【第17回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「手帳・ノートとの付き合い方」

記憶をたどると私が日記を付け始めたのは小学校2年生のとき。当時暮らしていたアムステルダム日本人学校補習校では児童の日本語力維持のため、「日記を毎日つけること」が課題でした。一方、初めて手帳を使い始めたのは中2でロンドンから帰国してから。公立中学校の「生徒手帳」がきっかけでした。以来、手帳および日記やノートとの付き合いは長きに渡ります。 今月の「ライフハックス」は年初ということもありますので...

【第16回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「Zoomの効果的な使い方」

かつて通訳者デビューを目指していたころ、スクールに通うことに加えてもう一つ、力を入れていたことがあります。それは「現役プロ通訳者のパフォーマンスを聴くこと」でした。そこで注目したのが、「展示会の無料セミナー」。横浜のみなとみらいや東京の国際展示場、千葉の幕張メッセでは様々な展示会が開催されており、一般向けのセミナーも充実していたのですね。内容そのものよりも、同時通訳に興味がありましたので、受付で...

【第15回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「心の不調と向き合う」

現役の通訳者の方、あるいは通訳の仕事に就くことを目指しておられる方の共通点は何でしょうか?それは「頑張り屋さん」であることだと私は思います。「勉強が好きで好奇心旺盛」「夢に向かって計画を立てて実行したり、細かいことまで丁寧に調べたりすることに喜びを感じる」というタイプが多いと思うのですね。向上心は尊いですし、謙虚になりつつ目の前のことに全力を尽くすことは、生きがいをもたらしてくれます。 た...

【第14回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「アイデア次第で快適に」

前回のライフハックスでは私自身が工夫している生活の知恵をシェアさせていただきました。あれから数か月。実は少しずつ自分の持ち物を見直しており、使っていないものや、自分にとっての「卒業」となるモノを処分し始めています。中でも大きかったのが、「自分の掲載誌や投稿の文章」です。以前の私は自分が寄稿した文章などをすべてボックスに入れ、満杯になれば日付を記載して保管していました。「いつか読み返すかもしれない...

【第13回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「生活の知恵あれこれ」

最近私は「発達障害」に興味があり、色々と本を読んでいます。中でも非常に参考になったのが、「発達障害サバイバルガイド」(借金玉著、ダイヤモンド社、2020年)でした。発達障害というのは外見だけではなかなか理解してもらえず、その一方で当事者であるご本人たちは、生きづらさや生活の規則正しさの送り方などにおいてとても苦労しておられます。本書にはどのようにしてサバイバルできるかが47のヒントとして綴られて...

【第12回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「紙新聞の活用法」

今や電子版の方が紙版より購読者数が多いとさえ思える「新聞業界」。私が通訳者デビューしたころはネットすらない時代ゆえ、情報源は紙新聞でした。「新聞ダイジェスト」なる切り抜き集大成のような雑誌もありましたね。昔は紙新聞・紙雑誌、そして図書館の縮刷版を重宝しましたので、隔世の感があります。ではなぜ通訳者として紙新聞を重宝できるのでしょうか?今回は紙新聞の活用法をご紹介いたします。 1.視認性の良...

【第11回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「本の読み方」

通訳者にとって大事なのは、「業務当日までどれぐらい沢山準備しているか」です。依頼の連絡を受けた時点で仕事は開始していることになります。よって、通訳料金というのは「当日だけの業務料金」ではなく、「依頼時点から当日に至るまでの準備時間を含めたのがギャラ」であると言えるでしょう。 私が準備段階でとりわけ意識しているのが、「いかに広く浅く狭く深く(と言うと結局『トータルに』ということになるのですが...

【第10回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「プレゼントの選び方」

フリーランスの通訳者というのは、ある意味「気楽さ」があると私はとらえています。大学卒業後の私は民間企業に勤めていましたが、その時に一番つらかったのが「朝のラッシュ」。私が当時暮らしていた実家はラッシュのひどさで悪名高く、早めの電車に乗っても、なかなか座れないという状況でした。さりとてガラ空きの始発に乗るほど早起きではありませんでしたので、必然的に毎朝押しつぶされながら出社していました。会社到着の時...

【第9回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「時間別メニュー」

2020年が始まりました。今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催され、アメリカでは大統領選挙が、芸術面ではベートーベンが生誕250周年を迎えるなど、色々なことが控えています。私自身、本年も健やかに通訳業務に勤しみたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 さて、1月に入ってから早や数週間が経過しましたが、みなさん、調子はいかがでしょうか?「元旦に計画を立てたけれど、うーん、...

【第8回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「時間泥棒撃退法」

この仕事をしていると「時間」にはどうしてもシビアになります。現場に遅れないよう、私など心配で1時間前には到着してしまいますし、同通時に数秒でも間が空いてしまうと自分の通訳力不足を痛感して焦ります。大量の書類がドサッと宅配で届き、「ああ、読まなくては」と思いつつも、なぜか掃除・洗濯・カーテン洗い・窓の桟拭きなど、どう考えてもプライオリティが低いことに関心が向かい、「ああ、また時間不足に」と嘆くことも...

【第7回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「疲労回復法」

通訳の仕事というのは何かと疲れがたまりますよね。特に私の場合、一番最初に疲労感を覚えるのが首、肩、背中です。発声しながら知らず知らずに力が入っており、ガチガチになってしまうのでしょう。ヘアサロンのマッサージではいつも「鉄板みたいですね」と言われてしまいます。今回の「ライフハック」では8つの疲労回復法をご紹介いたします。 1.水を一日1リットル以上は飲む 用意するのは空の1リットルPETボトル。...

【第6回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「どうする?ポイントカード」

本コラムでは「快適な日々を過ごせるちょっとしたヒント」をご紹介しています。ただでさえ慌ただしい通訳業務ですので、せめてそれ以外の部分でスッキリ清々しく暮らしたいですよね。今回のテーマは「ポイントカード」。スタンプカードも含みます。 今の時代、スマートフォン一台あればお財布を持ち歩かなくても済むようになりました。お財布代わり、会員証代わりにもなってくれるのがスマホの強みです。ただ、そうは言えど...

【第5回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「新幹線出張術」

通訳業に限らず、移動が多いビジネスパーソンも読者の中にはおられることでしょう。そこで今回は新幹線での移動をメインに出張術についてご紹介します。東海道新幹線をメイン拠点に書いております。あらかじめあしからず・・・。 1. 指定席券は買っておく 以前、新神戸まで日帰りで出かけたときのこと。早朝の新幹線に東京駅で乗車しました。数分おきに東海道新幹線は出ています。自由席でも大丈夫と思い、指定席は買って...

【第4回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「体調管理」

「通訳者になるために必要なことは何ですか?」というお尋ねをよく受けます。おそらく「英文法」「語彙力」「日本語力」などといったお答えを期待されているのでしょう。もちろん、語学や知識に関する能力も大切です。けれども私は通訳者の必須項目として「体力」を挙げています。万全な体調があって初めて良きパフォーマンスができるのであり、それがお客様のご満足につながると考えているのです。 そこで今月は「体調管理...

【第3回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「時短家事」

同時通訳をしているとき訳語に詰まると非常に焦ります。たとえ数秒間でもとてつもなく長く黙っているように思えるのです。あとで自分のパフォーマンスを聞き直してみると、黙っていたのはせいぜい2秒ぐらいで、聴衆としてはさほど気になりません。けれども本番中の沈黙はコワイのですよね。一方、日常生活での時間の感覚はまた異なります。「気がつけばネットサーフィン」で数十分も費やしてしまうのです。時間というのは主観的な...

【第2回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「手帳術」

今月は「手帳」に関してお伝えします。みなさんはどのような手帳をお使いですか?今の時代、アプリや多機能型デジタルツールなど、スケジュール管理も多様化しています。それでもなお「紙の手帳」に私はこだわります。 1.なぜ紙の手帳? もちろん人それぞれ好みは異なりますが、私の場合、「自分の手で書いたこと」は強烈に記憶されます。手帳を開き、日付を確認しながら仕事の予定を書き込むことで、いつ・どこで・どの...

【第1回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「時間管理」

私はこれまで時間管理術や手帳術などで試行錯誤してきました。今回は時間の使い方に関して日頃心がけていることをご紹介いたします。参考になれば幸いです。 1.手帳は常に開いた状態で 私が愛用しているのは4月始まりの紙の手帳です。これは指導先の大学が4月から新年度であるためです。最近は1月、4月、9月始まりなど手帳も多様化していますので、自分にとって使いやすいものを選ぶと良いでしょう。私は「今日の...