【第9回】通訳・翻訳学習記 東京外国語大学編「二年次秋学期期末試験、いよいよ卒業目前!」

 皆さん、こんにちは。日本会議通訳者協会理事の佐々木です。

 少しずつ暖かくなり、梅や桜がちらほら咲き始めましたね。春はもうすぐそこですね。

 今回は、二年次秋学期期末試験、オンライン形式の同時通訳実習、そして修士論文・修士研究発表会についてお話します。

二年次秋学期期末試験

 秋学期期末試験は「同時通訳ワークショップ(日本語→英語)」と「英語同時通訳演習(英日)」で実施されました。

 「同時通訳ワークショップ(日本語→英語)」は、事前にテーマと単語リストが共有され、それらをもとにインターネットなどで背景知識を習得し、試験に臨みました。数分間の日英方向の同時通訳を行い、訳出の精度や速さなど、複数ある評価項目で点数がつけられます。

 試験から数日後に担当の先生からフィードバックが送られてきます。それをもとに良かった点と改善点を確認します。

 「英語同時通訳演習(英日)」は、「同時通訳ワークショップ(日本語→英語)」と同様、事前にテーマと固有名詞のリストが共有され、それらをもとに準備を進めました。期末試験は無事終わりましたが、この一年間同時通訳を学んだことで、私個人の課題は「訳出の精度」であることを改めて認識しました。これからも日々練習し、今後の業務では安定した通訳ができるようにしようと思います。

同時通訳オンライン課外実習

 第7回で紹介したオンライン課外授業プログラムが冬学期にも実施され、オンライン形式による同時通訳実習の機会を再び得ました。今回は2日間、同時通訳を同級生三人と協力して行いました。前回同様、事前に資料を共有してもらい、歴史など専門的な内容の講演をするセッションの資料は通訳がかなり難しいため、ベタ訳(英訳した原稿)を準備しました。担当箇所を四人で分担して、当日の通訳に臨みました。

 今回も無事に通訳を終えることができ、プログラムを担当する先生方からも感謝してもらえました。通訳という行為を通じて誰かの役に立てることは、やはりとてもやりがいを感じます。このオンライン形式の通訳実習で得た経験も、今後のキャリアに活かしていこうと思います。

 最後に、修士論文・修士研究発表会の概要を紹介します。

修士論文・修士研究発表会

 第5回でもお話した日英通訳・翻訳実践プログラム独自の行事です。修士二年生が自身の修士論文や修士研究を発表し、修士一年生がそれを逐次通訳するという形式です。二年生と一年生のペアは事前に資料の共有やオンライン形式での打ち合わせなどを行います。発表会では、質疑応答の時間もあり、主任指導教員、副指導教員の先生方および参加学生から質問やコメントが寄せられ、発表者は回答やお礼を述べていました。今年は自分の研究内容を発表する側で、なるべく逐次通訳をしてくれる一年生が訳しやすい話し方で説明をしました。発表後、プレゼンテーションの良かった点と改善点について、先生方からアドバイスをいただきました。全体的に良い研究であるというコメントを先生方や多くの学生からもらえて、研究をしっかりと行って良かったと思います。

次回は、いよいよ最終回になります。卒業式の様子と今後のキャリアについてお話して、この連載を締めようと思います。

寒暖差が大きいですが、皆さん体調に気をつけてお過ごしください。


佐々木勇介

JACI理事。東京外国語大学大学院修士1年。学部卒業後、ITおよび通信の会社2社で通算4年半、エンジニア兼社内通訳者として従事していた。趣味はイギリス発祥のスポーツであるクリケットと愛車のロードバイクで一人旅。