【第3回】通訳・翻訳学習記―東京外国語大学編―「春学期期末試験から夏休み」

みなさん、こんにちは。日本会議通訳者協会理事の佐々木です。

東京を含む1都3県では3月22日から緊急事態宣言が解除され、人の往来がまた増え始めましたね。そして東京オリンピックの聖火リレーも始まりました。果たして今年、オリンピックは開催されるのでしょうか?新型コロナに気を付けながらですが、楽しみにしましょう。

第3回の今回は春学期期末試験と夏学期、夏休みの様子をお伝えします。

春学期期末試験

 前回お伝えした通り、東京外国語大学の春学期は5月に中間課題、7月に期末試験があります。中間課題ではレポート課題が中心でしたが、期末試験は演習系の科目では実践的な試験が行われます。簡単にですが、演習系科目の期末試験を紹介したいと思います。

 「逐次通訳ワークショップ(日→英)」の授業では、期末試験の1週間前にテーマを与えられるので、そのテーマの背景知識や関連のある単語を調べて、試験に臨みます。試験後に先生からフィードバックを頂きます。そのフィードバックで学生たちの夏休み中の勉強意欲を促進する方針になっています。

 「逐次通訳演習(英→日)」の授業では、こちらも1週間前にテーマを与えられるので、そのテーマの背景知識や関連のある単語を調べて、試験に臨みます。試験後にフィードバックとコメントが届きます。日英の授業と同様に夏休みに改善すべき課題を明確にして、学生の勉強意欲を高める方針になっています。

 言語処理系科目の「コーパス収集と分析のための言語処理技法(1)」の授業も期末試験はデータの処理をする実践的な試験がありました。こちらは授業中に学んだ処理方法を少し応用した部分もあり、少し難しかった印象があります。

 期末試験の通訳演習科目のフィードバックは自分が今まで気づけていなかったことを指摘して頂けたり、自分の弱点を発見できたりして、非常にありがたかったです。

 続いて、夏学期のお話を簡単します。

夏学期:「通訳翻訳学」

 夏学期は7月下旬から9月末までの2ヵ月間あります。集中講義という形式の授業が複数あり、それらの授業が2ヵ月の間に行われることになっています。そのため、各授業自体は通常1週間程度で終わります。

 今回の夏学期で私が受講した「通訳翻訳学」という授業は主に翻訳理論について勉強します。事前に翻訳理論に関する資料を渡されて、それを読んだうえで授業を受けます。授業ではディスカッションが主に行われ、他の学生や先生と意見交換ができるので、非常に有意義な授業だと思います。また、集中講義の後半(週の後半)は各学生によるプレゼンテーションが行われます。こちらも他の学生の考えや自分の考えを共有しあう良い機会になりました。
 ちなみに、夏学期や冬学期(2月頃)では、期末試験の代わりに最終課題としてレポート課題が出されます。

最後に、私が夏休みに行っていたことをお話します。

夏季休暇

私の夏休みは、8月上旬から9月末の1か月半程度ありました。ご存知の方も多いかもしれませんが、8月は日本会議通訳者協会(JACI)主催の「日本通訳翻訳フォーラム2020」がオンラインで開催され、私は実行委員としてドタバタしておりました。講演者との連絡や打ち合わせ、当日の講演の司会やアフターフォロー(質問への回答や資料共有等)に毎日追われていた記憶しかありません。しかし、本当に充実した時間と貴重な経験をさせていただいた1か月でした。

9月に入ってからは、修士の研究で参考にする先行研究の調査や通訳の練習等をしていました。特に通訳の練習に関しては、同級生2人と週3日勉強会をして、各々の通訳スキル向上を図りました。この当時、緊急事態宣言こそ発令されていませんでしたが、まだまだ新型コロナの感染拡大が続いていたため、勉強会もオンラインで行っていました。それでも、お互いの通訳に対する感想やよりその文脈の意図を伝えるのに適切な表現・単語の提案等ができていたので、非常に楽しくかつ有意義な時間を過ごせていたと思います。夏休み終盤には私も含め、3人とも少し自分の通訳が上手くなったと自信を持って言い合えたのも良かったと思います。共に頑張っている仲間とこのように切磋琢磨することで良い関係を築けるのは非常に良いことだと思います。

また上述の通り、新型コロナ感染拡大の影響で外出があまりできない状況だったため、基本的には自宅で通訳翻訳フォーラムの各講演の動画を編集したり、読書したり、通訳翻訳関連のセミナーに参加したりしていました。なんだかんだで、あっという間に夏休みは過ぎていきました。

今回は、夏休みまでのお話をさせていただきました。次回は秋学期と年末年始のお話をしようと思います。

繰り返しになりますが、皆さんどうぞ体調にお気を付けてお過ごしください。


佐々木勇介
JACI理事。東京外国語大学大学院修士1年。学部卒業後、ITおよび通信の会社2社で通算4年半、エンジニア兼社内通訳者として従事していた。趣味はイギリス発祥のスポーツであるクリケットと愛車のロードバイクで一人旅。