【第7回】通訳者・関根マイクの業界サバイバル・ガイド「プロフェッショナルとしての倫理」

(執筆・関根マイク

私が倫理を語る資格があるのかという、そもそも論はとりあえず横に置いておいて(笑)、今回は主にフリーランス通訳者が仕事をする上で重要な倫理的問題について書きます。プラクティカルな意味での通訳者の職業倫理はあまり語られることがありませんが、狭い業界だからこそ知っておくべきことです。悪い噂は強風に煽られる山火事のようにすぐに広まりますから。

クライアントを盗むな

エージェント経由で受けた仕事のクライアントを、あの手この手で直接取引にしてしまう通訳者がいますが、これは悪手としか言えません。たとえばクライアントもコスト意識がありますから、気に入った通訳者を現場でリクルートして、直接契約にしてしまおうとアプローチをかけてくることがありますが、「エージェントを通してください」と伝えて断りましょう。エージェントを通して仕事を受けた場合、あなたはエージェントに対して責任を負います。エージェントがいなければそもそも出会うことがなかったであろうクライアントを盗むことに倫理的問題があることは明白です。それに、そのようなアプローチをするクライアントはもっと上手くて安い通訳者を見つけたら同じようなアプローチをするでしょうから、あなたが捨てられるのは時間の問題です。

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