【JITF2021】鴻巣友季子「翻訳の深読み、浅読み」

鴻巣友季子

翻訳家、文芸評論家。訳書に、ブロンテ『嵐が丘』、ミッチェル『風と共に去りぬ』(以上新潮文庫)、ウルフ『灯台へ』(河出書房新社)、クッツェー『恥辱』『イエスの幼子時代』『イエスの学校時代』、アトウッド『昏き目の暗殺者』『誓願』(以上早川書房)、『獄中シェイクスピア劇団』(集英社)、コーリー・スタンパー『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』(共訳/左右社)ほか多数。著書に、『謎とき「風と共に去りぬ」』(新潮選書)、『翻訳教室 はじめの一歩』(以上ちくま文庫)、『翻訳ってなんだろう?』(ちくまプリマ―新書)など。バイデン大統領就任式で自作を朗誦した詩人アマンダ・ゴーマンの日本語翻訳者でもある。近訳書『わたしたちの登る丘』(文藝春秋)。学習院大学、津田塾大学などで翻訳の教鞭をとるほか、十年前から全国の高校をまわって翻訳のワークショップを行う。毎日新聞書評委員、朝日新聞文芸時評担当。(写真撮影 五十嵐美弥)

井口富美子(聞き手)

翻訳者(ドイツ語・英語)立教大学文学部日本文学科卒業。専門図書館勤務を経てベルリン・フンボルト大学に留学。壁崩壊前後の激動の時代を体験する。帰国後は翻訳会社で10年間チェッカー、コーディネータ、社内翻訳者として勤務。2005年に独立してフリーランスの翻訳者となる。2018年より日本翻訳連盟(JTF)理事。産業翻訳の他、文芸翻訳にもたずさわる。訳書『生命ゲームの勝者』(早川書房)、『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』(共訳、左右社)、『夜ふけに読みたい動物たちのグリム童話』(監訳、平凡社)ほか。

翻訳の深読み、浅読み

鴻巣友季子さんは、古典から現代まで英米文学の翻訳を数多く手がけられている、日本を代表する翻訳家のお一人です。また、大学の講義や高校への出張授業のほかにも、カルチャーセンターや大学のエクステンション講座などで、ご自身の翻訳経験に基づくユニークな指導をされており、私も薫陶を受けた一人です。そのハイレベルな授業で、何度目からうろこが落ちたことでしょう。

この20年で『嵐が丘』、『灯台へ』、『風と共に去りぬ』、『誓願』、そしてアマンダ・ゴーマンの詩と、鴻巣さんが一貫して女性作家の本流を訳してこられたことも見落としてはなりません。さらに、膨大な読書量に裏打ちされた多角的な視点を武器に、日本文学、世界文学の書評家、評論家としても活躍されています。本講演では、翻訳の基本、翻訳とは何か、鴻巣さんの翻訳の秘密、批評と翻訳の関係など、デビュー前後から歩んでこられた道をたどりながら、ほかではあまり聞けない、ここだけのお話をうかがいたいと思います。(聞き手 井口富美子)

日本通訳翻訳フォーラム2021