【JITF2020】辻健「Closed Earth System: 地球・宇宙探査から考える地球の環境と防災」

辻 健(つじ たけし)

九州大学大学院 教授、工学部地球環境工学科 学科長、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 マルチスケール構造科学ユニット長、京都大学防災研究所客員教授など。地球の内部構造を可視化すること、地震や火山といった地球の動態をモニタリングすること、月や火星といった地球外天体を探査することに生きがいを感じている。一方、CO2の問題は、地球環境に対する責任から研究している。地球をクローズされたシステムとして捉え、大気中のCO2を削減・マネージメントする技術の開発を行っている。

Closed Earth System: 地球・宇宙探査から考える地球の環境と防災

地震や火山といった地球の活動は、現在の人間が有する技術ではコントロールすることができない現象です。一方で人間活動によって、二酸化炭素(CO2)の増加といった地球の表層環境は強い影響を受け、温暖化などの問題を引き起こしつつあります。つまり、強力な地球内部の活動から人間社会を守りつつ、さらに繊細なバランスの上に成り立っている地球表層の環境を保全していく必要があります。

私は地球内部で生じる現象を調査する研究をベースとして、地震や火山の予測といった防災や、地球全体の物質収支を考えた時にCO2の削減に有利なエネルギー技術を議論してきました。さらに地球外の惑星を研究することで、地球の特徴を知り、地球(Closed Earth System)とうまく付き合う方法を考えています。

今回の講演では、(1)地球内部で生じる変動を捉えた結果から地震や火山の予測する試み、(2)地球内部の温室効果ガス(メタンハイドレートなど)の動きを捉えた結果から、Closed Earth Systemでの温室効果ガスの循環、さらには(3)地球を使って温室効果ガスを削減する方法(CO2貯留や地熱発電)について紹介しようと思います。地球は活動的に動いており、近年の技術を使えば、その動きを捉えることができるようになってきています。今回の講演で、地球の動きを感じ、地球との付き合い方を考える機会になれば幸いです。

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