【JITF2020】平野暁人「出演する通訳〜舞台芸術専門の通訳という生きもの」

平野暁人

翻訳家/通訳(日仏伊)。一橋大学言語社会研究科博士課程満期退学。修士課程に進学して間もなく映像を中心とした翻訳のアルバイトを始め、博士課程在籍中に平田オリザ氏の知遇を得て舞台芸術専門の通訳者としても活動を開始。2014年及び2017年にはSPAC芸術総監督・宮城聰氏の専属通訳としてアヴィニヨン演劇祭に帯同、テレビ・ラジオの生収録や講演などの通訳を務める。近年はリムーザン国立演劇センターの在日スタッフとして日仏共同プロジェクトのコーディネイトも多く手がける。翻訳家としては訳書に『「ひとりではいられない」症候群』(講談社)、『隣人ヒトラー』(岩波書店)他。戯曲の翻訳も多数。

出演する通訳〜舞台芸術専門の通訳という生きもの

こんにちは。ひらのです。院生時代に一度きりのバイトのつもりで演劇の通訳を引き受け、フランス人演出家の横柄な態度に頭にきて怒鳴りつけてから早10年以上、気づけば「日本でいちばん売れている日仏演劇通訳」と呼ばれるようになりました。ちなみに日仏演劇の通訳者はたぶん日本に数人しかいません。

20歳で嫌々フランス語を始め、長期の留学経験もないままなんとなく翻訳や通訳を引き受けるようになり、流されるまま今に至った私には、現役の会議通訳者として活躍されている方、またその途上にいらっしゃるような方にとって有益な話など特にできません。すみません。

ただ、舞台芸術専門の通訳という超ニッチな仕事の経験値はおそらく誰よりも高いので、たぶん他のどなたとも違うおもしろトークを提供することならできると思います。ちなみに、以下は今までに私が経験したすっとこどっこいなエピソードのほんの一例です;

・本番中にテグスを引く
・終演後に舞台を片付けてダッシュで宿舎に戻り全員分のまかないを作る
・演出家に説教して謝らせて食事をご馳走させる
・火災警報が鳴りスプリンクラーが回転する中で字幕の操作をし続ける
・マルセイユで救急車に何度も乗る
・パリの国立演劇センターに俳優として毎晩出演する
・同時通訳用の機械を使い、開演前の30分間ずっと前説して過ごす
・段取りを覚えて舞台に上がり、同時通訳しながら演技もする

当日は、すごくかっこよくできた本番の通訳や翻訳の自慢話なんかもしたいと思っています。多くの方にご覧頂けないとオファーをくださった方に申し訳ないので奮ってご参加ください。

あと、イタリア語もできます。韓国語は中級です。アラビア語は初級ですが発音はとても良いです。英語はまったく話せません。よろしくお願いします。なんのこっちゃ。

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