柴原早苗, Page 2

保護中: 【第38回】放送通訳の世界「全部聞き取れ・・・ません」

【会員限定コンテンツ】 通訳業界では、 「知らない単語は聞き取れない。聞き取れない単語は訳せない」 とよく言われます。未知のフレーズが出てきた場合、そもそもの意味を知らないわけですので、訳しようがないわけです。この「哲学(?)」に出会ったのは、まだ通訳者デビューする遥か前、確か通訳スクールに通っていたころでした。ちなみに私バージョンで追加するならば、 「知らない知...

【第19回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「やっぱり備えておくが吉」

7月上旬に起きたKDDIの通信障害。読者の中にも対応に追われたという方がおられるのではと想像しています。幸い私は別キャリアでしたが、お世話になっている知人が大変な思いをしたとのこと。今の時代、スマートフォンですべてが完結できますので、どこかで不測の事態が生じると様々な影響が出てしまいますよね。 そこで今回は、「やっぱり備えておくが吉」と題して、いざという時のために必要なヒントをご紹介いたし...

保護中: 【第37回】放送通訳の世界「困った!でも止まれない」

【会員限定コンテンツ】 国際会議の同時通訳の場合、たいていは事前に資料を頂けます。資料とはすなわち当日のスケジュール、話者のプロフィール、原稿やスライド資料などです。通訳者としては、ありとあらゆる情報が助けになります。よって資料が事前にあるか否かで当日に大きな差が出てくるのですね。 一方、放送通訳の場合、当日になるまで何が出るかは不明。あらかじめネットや新聞でチェックしてヤマ...

保護中: 【第36回】放送通訳の世界「共感疲労」

【会員限定コンテンツ】 短期間で終結すると思われたウクライナ情勢。当初は「ロシアによるウクライナ侵攻」ということばが使われていましたが、最近は「戦争」という語も見られるようになりました。「戦争」は「宣言」をすることで本格化します。侵攻が始まったのは冬の終わり。そして今、私たちは夏を目前に控えているのです。 CNNでも特別体制がとられ、通常の番組が速報に切り替わりました。24時...

【第18回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「ホテル活用術」

この2年間、会議通訳もセミナーも授業もオンラインが主流となり、「交通機関を使って移動をして、現地に宿泊する」という機会がめっきり減りました。確かに、「自宅にいながらにして通訳や指導をできる」のは便利です。合間に家事をしたり宅配便を受け取ったりできますし、ラッシュの電車にもまれることもありません。でも、出張や旅というのは、現実から離れることができます。普段見慣れない光景を目にするだけでも新鮮な気持...

保護中: 【第35回】放送通訳の世界「めざせ省エネ」

【会員限定コンテンツ】 放送通訳現場では毎回さまざまなニュースがお目見えします。会議通訳のように「事前資料配布・予習」をしづらいのが特徴。ゆえに日ごろから自力でニュースに触れ、日常生活でも好奇心のアンテナを立てた状態で過ごします。すべてが自分にとっての学びとなり、ひいては現場で生かされるのです。 ただ、こうして意識を高く持ち続けたとて、本番で難儀するのもこの仕事ならでは。...

保護中: 【第34回】放送通訳の世界「どこまで溜める?」

【会員限定コンテンツ】 通訳者に必要なのは「語学力・知識力・体力」。私はこれを合言葉にしており、ジム通いも大事な業務の一環(?)です。中でもお気に入りはバーベルを使い、音楽に合わせて体を動かすスタジオレッスン。わずか30分でもたっぷり筋トレになります。 レッスンでよくインストラクターさんが使う「溜める」という言葉。たとえばスクワットの場合、しゃがんだ状態で数秒間「溜めて」か...

【第17回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「手帳・ノートとの付き合い方」

記憶をたどると私が日記を付け始めたのは小学校2年生のとき。当時暮らしていたアムステルダム日本人学校補習校では児童の日本語力維持のため、「日記を毎日つけること」が課題でした。一方、初めて手帳を使い始めたのは中2でロンドンから帰国してから。公立中学校の「生徒手帳」がきっかけでした。以来、手帳および日記やノートとの付き合いは長きに渡ります。 今月の「ライフハックス」は年初ということもありますので...

保護中: 【第33回】放送通訳の世界「お国訛り英語トレーニング」

【会員限定コンテンツ】 CNNでは様々な国のニュースが取り上げられます。キャスターもアメリカ人ばかりとは限らず。ちなみに私は90年代にロンドンのBBCで働き、2000年代初頭からはCNNメインで放送通訳をしています。CNNデビューをして間もない頃、「あれ?このキャスター、数年前までBBCにいたのに」と思ったものでした。 そう、ヘッドハントあるいはとらばーゆ(ああ、用語が古すぎ!...

保護中: 【第32回】放送通訳の世界「集中セヨ、集中セヨ」

【会員限定コンテンツ】 いきなりですが、質問です: 「同時通訳者が集中できる時間は最大何分?」 セミナーでこの問いを投げかけてみると、実に色々な答えが出てきます。「1分」というものもあれば、「60分」という回答もいただきました。いやはや、「60分集中できる魔法」があれば、ぜひぜひ頂戴したいです。 で、正解は? 通訳内容の難易度にもよるのですが、おおむね10分から...

【第16回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「Zoomの効果的な使い方」

かつて通訳者デビューを目指していたころ、スクールに通うことに加えてもう一つ、力を入れていたことがあります。それは「現役プロ通訳者のパフォーマンスを聴くこと」でした。そこで注目したのが、「展示会の無料セミナー」。横浜のみなとみらいや東京の国際展示場、千葉の幕張メッセでは様々な展示会が開催されており、一般向けのセミナーも充実していたのですね。内容そのものよりも、同時通訳に興味がありましたので、受付で...

保護中: 【第31回】放送通訳の世界「ごほうび通訳」

【会員限定コンテンツ】 通訳の仕事というのは、人材派遣会社(エージェント)に登録するところから始まります。デビュー前の私は大学で通訳の授業をとったり、民間のスクールに通ったりしましたが、それだけでは登録できません。自分なりに経験を積み重ねて業績を増やすことが必須なのです。そこで私は複数の自治体の国際交流協会にボランティア通訳者として登録し、ボランティアの回数を増やしました。また、正社員時代...

保護中: 【第30回】放送通訳の世界「大文字?小文字?」

【会員限定コンテンツ】 普段担当しているCNNの放送通訳で、実は難儀していることがあります。デビュー当時から今に至るまで変わりません。それは、「画面下のヘッドラインの文字がすべて大文字であること」です。 たとえば、 "CORONAVIRUS CRISISHOSPITALIZATIONS UP 225% SINCE EARLY JUNE IN ONE MISSOURI CITY;...

【第15回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「心の不調と向き合う」

現役の通訳者の方、あるいは通訳の仕事に就くことを目指しておられる方の共通点は何でしょうか?それは「頑張り屋さん」であることだと私は思います。「勉強が好きで好奇心旺盛」「夢に向かって計画を立てて実行したり、細かいことまで丁寧に調べたりすることに喜びを感じる」というタイプが多いと思うのですね。向上心は尊いですし、謙虚になりつつ目の前のことに全力を尽くすことは、生きがいをもたらしてくれます。 た...

保護中: 【第29回】放送通訳の世界「単語との付き合い方」

【会員限定コンテンツ】 「通訳者に必要な能力は何ですか?」 このような質問を私は授業で尋ねることがあります。答えとして挙がってくるのは文法力、語学力、知識、即応力などなどです。そしてもちろん、「単語力」という回答もあります。事実、単語をそもそもわかっていなければ、目的言語に訳すことはできませんよね。どれだけ知識があったとしても、単語の意味を理解してそれを瞬時に目的言語に訳出できなけれ...

保護中: 【第28回】放送通訳の世界「スクリプト、使う?使わない?」

【会員限定コンテンツ】 4月29日(日本時間)にアメリカ議会ではバイデン大統領の演説が行われました。私はその日、とある放送局で同時通訳を仰せつかり、大統領の今後に向けての方針を訳す機会に恵まれました。そこで今回は私が行った準備および「当日のスクリプト」に焦点を当ててお話いたします。 まず、政府要人の演説の場合、ご本人は原稿が映し出される「テレプロンプター」という機械を見ながら話を進め...

【第14回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「アイデア次第で快適に」

前回のライフハックスでは私自身が工夫している生活の知恵をシェアさせていただきました。あれから数か月。実は少しずつ自分の持ち物を見直しており、使っていないものや、自分にとっての「卒業」となるモノを処分し始めています。中でも大きかったのが、「自分の掲載誌や投稿の文章」です。以前の私は自分が寄稿した文章などをすべてボックスに入れ、満杯になれば日付を記載して保管していました。「いつか読み返すかもしれない...

保護中: 【第27回】放送通訳の世界「コワい数字」

【会員限定コンテンツ】  放送通訳業務、いえ、通訳全般において緊張することは数々あるのですが、中でも私の場合、一番テゴワイと思っているのが「数字」です。「なぜ?数字というのはoneからtenおよびthousandやmillionといった単語だけでしょ。だから、ラクなのでは?」と思われる方、ぜひ放送通訳者の悲哀(?)をお読みいただければ幸いです。具体的に見ていきましょう。 (1)数字間...

保護中: 【第26回】放送通訳の世界「ツライ放送通訳とは?」

【会員限定コンテンツ】 「どうしてもロンドンで働きたい!」という思いゆえにThe Japan Timesの求人欄で見つけたBBC World日本語部の「放送通訳者募集」広告。テレビ局の社会科見学はおろか、どこに在京のテレビ局があるのか知らなかったほど、当時の私はマスコミとは無縁でした。それでも「絶対にイギリスに行きたい!」という思いが採用担当者に通じたかどうかは不明ですが、1998年から2...

【第13回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「生活の知恵あれこれ」

最近私は「発達障害」に興味があり、色々と本を読んでいます。中でも非常に参考になったのが、「発達障害サバイバルガイド」(借金玉著、ダイヤモンド社、2020年)でした。発達障害というのは外見だけではなかなか理解してもらえず、その一方で当事者であるご本人たちは、生きづらさや生活の規則正しさの送り方などにおいてとても苦労しておられます。本書にはどのようにしてサバイバルできるかが47のヒントとして綴られて...

保護中: 【第25回】放送通訳の世界「コロナになってからの放送通訳」

【会員限定コンテンツ】 昨年のちょうど今ぐらいだったでしょうか。「中国のとある地域で今まで聞いたことのないインフルエンザのような症状が出た」という第一報がニュースで流れました。私自身は「今までも豚・鳥インフルエンザや各種インフルエンザが猛威を振るったけれど、収まったものね。だから今回も中国内で済むのでは?」と思っていたのですね。 ところが状況は緩和されるどころか、どんどん拡大していき...

保護中: 【第24回】放送通訳の世界「アメリカ大統領選挙」

【会員限定コンテンツ】 4年に一回、オリンピックと同年に行われるアメリカ大統領選挙。例年であれば、夏に五輪ニュースと私は格闘しつつ、選挙ニュースへの対応も迫られています。今年は東京五輪が延期になったためか、いつも以上に米国大統領選挙のニュースが多くなりました。アメリカの大統領選は仕組みも複雑であり、用語も色々とあります。 そこで今回は、放送通訳の世界から見た大統領選挙と私の経験につい...

【第12回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「紙新聞の活用法」

今や電子版の方が紙版より購読者数が多いとさえ思える「新聞業界」。私が通訳者デビューしたころはネットすらない時代ゆえ、情報源は紙新聞でした。「新聞ダイジェスト」なる切り抜き集大成のような雑誌もありましたね。昔は紙新聞・紙雑誌、そして図書館の縮刷版を重宝しましたので、隔世の感があります。ではなぜ通訳者として紙新聞を重宝できるのでしょうか?今回は紙新聞の活用法をご紹介いたします。 1.視認性の良...

保護中: 【第23回】放送通訳の世界「ボイスオーバー」

【会員限定コンテンツ】  放送通訳は細かく分類すると「時差通訳」「半生同通(はんなまどうつう)」「生同通(なまどうつう)」があります。時差通訳は事前にニュースの動画を視聴し、日本語原稿を作成し、本番でその動画に合わせるというものです。一方、半生同通は原稿を作成する時間はないものの、1、2回は動画を視聴した上で本場に臨みます。いずれもNHK-BSの海外ニュースで用いられているのですね。この場...

保護中: 【第22回】放送通訳の世界「さあ、違いはどっち?」

【会員限定コンテンツ】  放送通訳と会議通訳。この大きな違いは「同じ空間にパートナーがいるか否か」だと私は思っています。かつて国際会議の同時通訳をメインに稼働していたころは、常に先輩や同僚通訳者の存在がありました。同じ狭いブース内でサポートをしながら、ハードな一日を乗り切るというものだったのですね。用語のすり合わせをしたり、難解な用語を速攻で辞書で調べたり、めまいがするような数字のオンパレ...

【第11回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「本の読み方」

通訳者にとって大事なのは、「業務当日までどれぐらい沢山準備しているか」です。依頼の連絡を受けた時点で仕事は開始していることになります。よって、通訳料金というのは「当日だけの業務料金」ではなく、「依頼時点から当日に至るまでの準備時間を含めたのがギャラ」であると言えるでしょう。 私が準備段階でとりわけ意識しているのが、「いかに広く浅く狭く深く(と言うと結局『トータルに』ということになるのですが...

保護中: 【第21回】放送通訳の世界「負担無き放送通訳をめざして」

【会員限定コンテンツ】 私が普段シフトで入っているCNNでは、通訳者が一人でブースに入ります。通常の会議通訳であれば二人一組となり、パートナーがサポートに回りますよね。けれどもニュース現場では一人体制なのです。CNNの場合、30分を一人が担当し、時間になるとパートナー通訳者が控室からそっとブースに入ってきます。そこでお互いに目配せをしながら挙手をして引き継ぐという形をとっています。たったひ...

保護中: 【第20回】放送通訳の世界「使命感について考える」

【会員限定コンテンツ】 「イギリスで働きたい」との思い一筋で、放送通訳の経験が全くないままBBCの仕事を始めました。1998年6月のことです。通訳業務そのものにはある程度携わっていたとは言え、テレビ局の社会科見学すらしたこともなかったのです。「採用されたのは運が良かったから」としか言いようがありません。あれから20年以上が経ちます。今では放送通訳以外は考えられないほど、こよなく愛している仕事...

【第10回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「プレゼントの選び方」

フリーランスの通訳者というのは、ある意味「気楽さ」があると私はとらえています。大学卒業後の私は民間企業に勤めていましたが、その時に一番つらかったのが「朝のラッシュ」。私が当時暮らしていた実家はラッシュのひどさで悪名高く、早めの電車に乗っても、なかなか座れないという状況でした。さりとてガラ空きの始発に乗るほど早起きではありませんでしたので、必然的に毎朝押しつぶされながら出社していました。会社到着の時...

保護中: 【第19回】放送通訳の世界「やってて良かった!放送通訳」

【会員限定コンテンツ】 通訳というのは、知的好奇心を満たすことのできる最高の仕事だと私は思っています。私の場合、ひょんなきっかけからこの世界に足を踏み入れたのですが、たとえ生まれ変わったとしてもまたこの仕事に就きたいと心から思っています。医師や弁護士のような国家資格はありません。必要なのはたゆまぬ向学心と好奇心、そして経験です。さらに付け加えるなら体力と気力、切り替え力といったところでしょう...