【JIF2025】矢澤竜太「AIエージェントで実現するゲームローカライゼーションのパラダイムシフト」

矢澤竜太

翻訳キャリア20年超の英日翻訳者。2010年代よりカンファレンス登壇などを通じゲーム翻訳環境の改善に取り組んできた。最高のゲームAI翻訳を目指す姿勢に惹かれてDMM GAME翻訳に参加。日々改善・進化に勤しむ。自称「翻訳AIの牧羊犬」。

AIエージェントで実現するゲームローカライゼーションのパラダイムシフト

グローバル展開が標準となった現代のゲーム市場において、ローカライゼーションは依然としてコスト、時間、品質維持の面で大きな経営課題となっています。

本講演は、私たちがGame Developers Conference (GDC) 2025で発表した、これらの課題に対する取り組みを詳説するものです。私たちは「AIエージェント」を中核に据えた新しい翻訳ワークフローを提唱し、従来の機械翻訳と人手による修正(MT+PE)とは別の価値軸で事業を進めるAIネイティブな翻訳事業体「Neo-Localization Company」という構想のもとに取り組んでいます。

文脈依存性の高いゲームテキスト特有の課題を克服するカギは徹底的なコンテキスト理解だと私たちは考えます。それにはゲームの世界設定である「マクロコンテキスト」と、個別の場面状況を示す「マイクロコンテキスト」をAIに理解させ、より良いものを紡ぎ上げる工程が欠かせません。このプロセスにおいて人間は、翻訳作業者からAIを監督・指導する「ローカライゼーションディレクター」になると、私たちは考えます。

本講演ではそんな「ゲームローカライゼーションの民主化」を目指す取り組みを紹介します。

日本通訳フォーラム2025