菊池葉子

【三重県】セントヨゼフ女子学園(2023)

2023年6月17日および7月15日、JACI理事の松岡由季、会員の中村由紀子、ユリア・エルビーニア、荻野かおりが、協会のアウトリーチ活動の一環として、三重県のセントヨゼフ女子学園の高校1年生のクラスで通訳実践講座を行いました。 Day1は通訳の仕事紹介に始まり、その後、通訳のデモンストレーションも行われました。瞬時に言葉を紡ぎ出す同時通訳を初めて目にした生徒からは、感嘆の声があがっていま...

【三重県】セントヨゼフ女子学園(2022)

2022年6月4日と18日、JACI理事の岩瀬和美と関根マイク、会員の中村由紀子が協会の通訳アウトリーチ活動の一環として、三重県のセントヨゼフ女子学園で通訳の実践的な授業を行いました。 コロナ禍ではありましたが、安全と教育効果に配慮した少人数x3部屋でプログラムを実施しました。初日は冒頭から、教員の挨拶を岩瀬理事が黒板にすべてメモ取りし(すべてアドリブ)、完璧に逐次通訳で再現して学生を驚か...

【最終回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「まとめ」

今回で14回にわたる「はじめての通訳」が最終回となります。そこで、今までの振り返りと総括をしてみたいと思います。いつもの形式で― 今回は自分自身への質問で―進めます。 なぜこのテーマで原稿を書こうと思ったのか? このアイディア―なぜこんな質問が?とその回答―を思いついたのは私が『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著、2013年、キングベアー出版社 )を読んでいるときでした。 この本では...

【第13回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「日本語訳にカタカナ語を混ぜてもいいのですか? 的確な日本語って何ですか?」

*カタカナ語とは「片仮名で表記される語。主に外来語を指すが、和製英語についてもいう。」(デジタル大辞泉より)がここでは前者の場合を指します。 また、外国語と外来語は異なるものであり、外来語は日本語の一部とします。もともとは英語(外国語)から来ているものであったとしても、日本語式に発音されていれば、それは「外来語」であると言って差し支えないとされています(NHK 放送文化研究所より)。 答え ...

【第12回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「メモって何を書けばいいのですか、速記のことですか?英語でメモをとってもいいのですか?」

答え 基本的には何でも構いません。メモは速記とは違います。英語でメモを取るのも場合によっては可です。 なぜこのような質問が? この質問は受講生のみならず、現場へ行ったときに一般の方からもよく聞かれます。 気になりますよね、何か書いてあるのか。 初めて通訳講座を受講された方も浮き浮きした調子で「メモ取りを勉強したいです!」とよくおっしゃいます。 ちょっと待った!!メモって本当に必...

【第11回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「昔から読書が嫌いなんです。どうしても本を読まなければなりませんか。」

答え 「はじめての通訳」―初心者―としては読書の優先度は確かに低いです。ただ、今後通訳の力を伸ばしていくためには必要です。 なぜこのような質問が? 授業中にある受講生を指名して訳出してもらったときのこと。言いたいことはなんとなくわかるものの、あまりにもまとまりのない日本語でかつ表現力、語彙力にも乏しい、といったことが何回も続いたため「本を読んでいますか?」と聞いたところ、タイトルのようなこと...

【第10回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「口を動かす訓練が苦手です。どうして目を動かす訓練が必要なのですか。」

* ここでいう「口を動かす訓練」とは、音声による訳出訓練、スラッシュ・リーディングなどの口頭訳出のことをいいます。 答え 英語に対する瞬発力を身につけ、正確に情報をつかむために必要です。 なぜこのような質問が? 最初にこう質問されたときには大きな「?」マークが頭の中に浮かんできてしてしまいました。私の周りにいる通訳者といえば「話すのが大好き」「(自称)口から産まれてきた」方が大半だったから...

【第9回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「通訳なのになぜリーディングの訓練が必要なのですか」

ここでの「リーディング」とは「サイトトランスレーション」のことを指します。 サイトトランスレーション(以下、サイトラ)とは、英文を「チャンク」と呼ばれる意味のカタマリごとに区切り、前から訳していくトレーニングの方法です。 答え 音源(スピーチなど)を聞いたときの理解力を高め、理解の範囲を広げるのに必要だからです。 なぜこのような質問が? 連載2回目『英会話ができれば通訳ができますよね...

【第8回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「私、新聞を読まないしテレビも見ないんです」

答え このコメントは何を意図しているのでしょうか。勉強を一生懸命しているアピールなのでしょうか。私は周りのことには関心をもたず一心不乱に勉強しているということなのでしょうか。(心の声) なぜこのような質問が? 受講生からこのようなコメントが出る場合とは以下のような状況に集約できます。 時事問題が背景になっているとき 事前に配布した資料に載っていないような一般的な話であると...

【第7回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「単語は全部覚えないと通訳できませんか?」

答え 全部覚えるのは無理です。確かに、会議の前には200から300語の単語を覚えますが、それでも全部ではありません。しかも短期記憶用です。 日本語でも知らない単語はありますよね。 ましてや外国語ですし、日々新しい単語が登場するのですから、全部覚えようとするのは大変です。 でも、単語がわからないからといって通訳できないわけではありません。  なぜこんな質問が? 理由は2つ考え...

【第6回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「記憶力がよくないと通訳になれませんか?」

答え そんなことはないと思います。通訳者同士で記憶力の良し悪しの話をしたことはないですし、私自身も記憶力がいいとは思いません。私事ですが、私の弟は記憶力がよく、1年前、5年前といった昔の出来事を鮮明に覚えていて「備忘録」のように家族から重宝されております。片や私は日常生活の細々したことはしょっちゅう忘れ、家族のイベントがあったことすら忘れていることもあります。 なぜこのような質問が? まず、...

【第5回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「リスニングテストで使う音源なら訳せるんです」

答え そうですか…リスニングテストというとTOEICや英検のような音源のことですよね。いったいどのような揚面での通訳を想定されているのですか?ゆっくり、明瞭に、しかも論理明確に話してくれる方なんてそもそもいるのでしょうか??? なぜこのような質問が? この質問は通訳科に進級してきたばかりの受講生から発せられることが多いです。通訳科の前の「英語専修コース」「通訳翻訳基礎コース」「語学力強化コー...

【第4回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「全部訳さなければいけませんか?」

答え はい、原則として全部訳さなければなりません。 本タイトルを思い出してください。「はじめての」通訳。 情報をまとめ、省略などと考えるには早すぎるということです。 なぜこのような質問が? 他の言語ですが、話者が話した内容をかなり省略、あるいは増やして訳出している通訳者を見たことが何回かあります。 「何回もおなじことを繰り返してくどい」 「私の方がこの...

【第3回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「TOEIC 730点を持っていれば通訳できますか?」

答え そうですね……条件つきで可能といったところでしょうか。 例えば、営業担当、技術者など対象分野に詳しい、該当分野について日頃から日英ともによく話しているといった揚合。 あるいは、ごくごく簡単な内容とかゆっくりとした話し方をされる方の話である場合です。 なぜこのような質問が? まず、通訳の能力の判断やフィードバックは、日本人の担当者が通訳者の日本語の訳出を聞いて行わ...

【第2回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「英会話ができれば通訳できますよね?」

答え できません。 なぜこのような質問が? まず、通訳に対する無理解が根底にあるように思います。「人間自動翻訳機」あるいは「語学変換パイプ(左から外国語を吹き込むと右から訳語が出てくる)」と勘違いされている方もいらっしゃいます。確かに技術がかなり進歩し、自動翻訳機の精度はかなり向上しました。特に英語の音声認識技術は人間レベルにまで到達したと言われています。ただ、1つの言葉でも...

【第1回】はじめての通訳~通訳と訓練方法に対する誤解「通訳ってハリウッドスター来日会見の通訳をするあの人のことですか?」

はじめに 私は5年近く通訳学校や大学で主に初心者向けの通訳演習授業を行ってきました。私か訓練を始めたころより通訳という職業が身近なものになり、かつインターネットで容易に情報が取得できるようになったにもかかわらず、依然として通訳に対する理解が不十分なまま授業に参加される方がいらっしゃいます。その結果、授業を十分に消化できないまま夕-ムが終わってしますケースが見られました。通訳という職業、その訓...