エバレット千尋

【第3回】オーストラリアの通訳現場から

エバレット千尋さん メルボルンでの出勤前 バリバリバリ・・・。真冬といえども日本にいるほど身体の芯から冷えるような感覚のないメルボルンで久々に聞いたこの音。「曇り時々雨。突風に注意」の天気予報を信じ、珍しく自動車で今日の現場に向かおうとすると、フロントガラスが凍りついていました。オーストラリアの大都市はどこもそうなのですが、朝の道路状況は刻一刻と変わります。 今日の仕事は王道の...

【最終回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「大学院でサバイバル!の巻④」

毎回前書きばかりが長くなるコラムも今回でいよいよ最終回となりました。このコラムを書いている6月初旬、緊急事態宣言は解除され、世間ではやれ「ポストコロナ」だとか、やれ「ウィズコロナ」だとか、巷では語呂の良いカタカナ英語が飛び交い、明るい気持ちになっていいのかなと思えば、「Tokyoアラート」なんていうものが登場して、やはり緊張を続けるべきなのか、もはや訳のわからないことになっている今日この頃です。...

【第10回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「大学院でサバイバル!の巻③」

オーストラリアの大学院に入り「忍耐の理論」、そして「苦痛のスピーチ」の授業(こちらから)、今回は速読の授業についてです。今回は前回の続きからお送りします。 *** もう一つ印象に残っている授業は速読の授業です。この授業ではひたすら毎週本を読まされました。読む本は何を選んでもいいのですが、宿題として毎週読まなければならないページ数は増えて行きます。授業ではまず、「単位時間あたりの情報入手量は、聞くよ...

【第9回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「大学院でサバイバル!の巻②」

新型コロナウイルス 、ますます大変な状況になっています。 実は先日、母と娘と共同で東京に小さな1LDKのマンションを買いました。その引き渡しが4月末にあり、当日は司法書士の前で諸々の書類に署名をしなければなりません。先月オーストラリアでこのコラムを書いていた時は、世界の中心から遠く離れたオーストラリアにコロナの影響はありませんでした。まだ夏の余韻があり、暖かい日にはビーチに人が大勢押し寄せていま...

【第8回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「大学院でサバイバル!の巻①」

新型コロナウイルス 、大変な状況になっています。フリーランスの方々は皆同じだと思いますが、2月半ばから3月にかけての普段なら「うれしい悲鳴♪」のミニ繁忙期が、キャンセルに次ぐキャンセルで、あっという間に超スーパー閑古鳥。フリーランスという看板を抱えた失業者にとなってしまいました。 さて、前回このコラムを書いたのは2019年の暮れでした。それからお正月がやって来て、瞬く間に去り、「行く前から帰りた...

【第7回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「大学院いきます!の巻」

ごくごく当然の話ですが、オーストラリアは南半球にあります。 先週後ろ髪を引かれつつも心を鬼にし、今年の仕事納めをしてメルボルンに戻ってきました。今年の秋は何かと忙しかったですよね。いつもはもう少し息つく暇があり、繁忙期もちょこちょことオーストラリアに戻ってきたりしているのですが、今年はスケジュールの組み方が不味かったこともあり、また1日だけのヨーロッパでの仕事にかこつけて、1週間以上も滞在して遊...

【第6回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「通訳学校でサイトラ頑張るの巻」

台風19号、怖かったですよね。 今回の台風は10月に日本を襲いましたが、通常台風が日本列島を襲うのは9月。少なくとも近畿地方を襲うのは9月と決まっていました。私は9月生まれなのですが、生まれた年もやはり9月に台風が近畿地方を襲い、私が生まれた直後も父は浸水した近くの線路の掃除に追われていたと聞いています。私が子供の頃は毎年のように台風が来ていました。台風が来て「暴風雨警報」が発令されると学校が休...

【第5回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「通訳学校に通うの巻」

あなたのために死ねます 今週はTICADの週でした。そんなTICADでは本会合以外にも多くのサイドイベントが並行でして開催されており、そのうちの一つでお仕事をしていました。「あなたのために死ねます。」これはご一緒した先輩通訳さんからお聞きした言葉です。放送通訳者でもあり、面倒見が良くて素敵な先輩通訳さんなんですが、おしゃべりがこれまた面白い。休憩時間に話題になったのは、出張面白ストーリー。トルコ出...

【第4回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「英検2級の苦難と通訳学校に通うの巻」

このコラムを書いている7月は、日本では長い梅雨も終わりを迎え本格的な夏の到来となる時期ですね。私は家族(とはいっても下の息子も今や大学生!)とドッグがいるメルボルンと東京を頻繁に行き来しながら仕事をしていますが、通訳の仕事は東京が中心となります。実際に日数を数えるとメルボルンにいる方が長いのですが、東京には1、2ヶ月に1度くらい戻って、2週間から3週間くらい滞在しています。渡航費用は当然自分で負担...

【第3回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「通訳になりたい!?ECCのスパルタ教育」

天津は今日も晴れ。空は薄めに溶かしたクリームシチュー。 今週は月曜日から憧れの(本当かよ〜)春秋航空で天津に来ています。成田空港第3ターミナルから直行便で渡航できる天津。東京から約3時間、往復3万円強で渡航できる天津は、陸水運の要衝でもあり、天津飯でも有名です。と・こ・ろ・が、なんとここには天津飯がない!どこに行っても天津飯がありません。薄々想像してはいましたが、どうやら天津飯は日本の素晴らしい...

【第2回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「英会話はNOVAで!編」

“Awww! Looks like he’s done an ACL! Another year is gone for him...” 私は仕事の中心は東京なのですが、自宅はオーストラリアのビクトリア州メルボルンにあります。メルボルンはオーストラリア大陸(世界一大きな島!という人もいますが)の南の端に位置し、緯度は仙台と同じくらいで、南極からの「南風」がびゅんびゅん直撃し「1日に四季がある」と...

【第1回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「インドが私の人生を変えた編」

「ううう…始めなければ。ジム三昧で遊んでいる場合ではない。今始めないとやばいことになる。」 こんな思いを、この数週間ずっと抱えていました。今回コラムを書くにあたっては、昨年から担当の方にお願いして、できない私でも何とかなるお題目を受け入れていただき、こんなところでおこがましくもコラムを書くことになったのですが、実は私、物を書くことや作文を、超々スーパーに不得意としております。今でも小学校の頃の読...

【第3回】通訳者・翻訳者の子育て「“ハーフ”でも何もしなければ“バイリンガル”には育たない」

(執筆:会議通訳者 エバレット千尋) 「ハーフちゃんだと、勉強しなくっても英語が話せていいね!」 日本では毎日のようにこの言葉に出会いました。私の主人はオーストラリア人です。純潔日本人で留学経験ゼロだった私がゲットした「英語ネイティブ」のオージー・ハズバンドは、家庭でも英語を使う理由を与えてくれる、とてもありがたい存在です。 だからといって、そんな2カ国語の家庭で育つ子どもが放っ...

【第3回】現役通訳者のリレー・コラム「オーストラリアの通訳現場から」

(執筆・エバレット千尋) バリバリバリ・・・。真冬といえども日本にいるほど身体の芯から冷えるような感覚のないメルボルンで久々に聞いたこの音。「曇り時々雨。突風に注 意」の天気予報を信じ、珍しく自動車で今日の現場に向かおうとすると、フロントガラスが凍りついていました。オーストラリアの大都市はどこもそうなのです が、朝の道路状況は刻一刻と変わります。 今日の仕事は王道の9時開始。その上シテ...