【第7回】つながっていたんだ!~通信・ネットワーク系の通訳で学んだこと「携帯通信規格の進化」

今、私の机の上には違う世代の通信規格の携帯端末が2つあります。何を隠そう(私を知っている人は、ここでクスクス笑っているかも)、まだガラケーも使っております。別に「携帯通信規格の歴史」を持ち歩きたいわけではありません。ファミリー契約になっている親との無料通話・通信を維持したい、その他もろもろの個人的理由からです。(このあたりは、また別のテーマで背景をご説明します。)

「ある日、突然」やってきた!

「ある日、突然」その時がやってきました。ええ、メールがなかなか送信できなかったのです!私のガラケーくんで!!端末が故障したわけではありません。山手線に乗車中に頻繁に起こりました。最初は、「車内でほとんど全員が携帯使っているし、回線が混雑してるのかー」ぐらいに思っていたのですが、すいている電車でも同じでした。ここで、ようやく私は気づきました。「ああ、『その時』がついに来たんだ」と。時代が変わっていたのです。もう3Gではなくて、LTEの時代になっていたのでした。もっと正確に言うと、「世代」が変わっていました。

その「『世代』交代」とは、第三世代から第四世代への交代です。3G(第三世代規格)のネットワークよりもLTE(第四世代規格)のネットワークの方が充実していて、LTE対応の端末の方がつながりやすくなっていたのです。ここでもうお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、「3G」とは「第三世代、the third generation」の略語です。携帯電話として3つ目の規格です。だとしたら、次は当然「4G」となりそうなのですが、ほとんどの場合に「LTE」が次の世代の呼び方として使われています。LTEとは”Long Term Evolution”の略語ですが、このあたりの経緯は、NTT東のサイトにわかりやすい説明がありますので、こちらのページをご参照いただければと思います。

で、このLTEですが、覚えていらっしゃるでしょうか?ソフトバンクのCMを。ELT(Every Little Thing)のメンバーがLTEサービスのスタートを宣伝するコマーシャルに出ていました。(あー、ややこしい。⦅笑⦆)当時、私は携帯電話関係の会社での社内通訳の仕事は終えていて、このCMを見たときに、「あー、ついに始まったかあ」と、感慨深い気持ちになりました。かつて会議で「将来の通信規格」として耳にしていた「LTE」が、現実のものとしてスタートしていたのです。

そして冒頭にあるように、「ある日、突然」に、新世代のネットワーク構築が着々と進んでいることを山手線の車内で身をもって体験したのでした。

携帯通信サービスのブランド

これまた「ある日、突然」ですが、契約している携帯通信会社から「あなたのお使いの携帯電話のサービスは近いうちに終了します」といった内容のダイレクトメールが母の手元に届きました。「わけのわからないことは、とにかく娘に聞く」という、いつもの方針に従って(笑)、母は私に電話をかけてきました。「なんや、ややこしいアルファベットが書いてあるねん、わからん。」

後日、実家に行ってダイレクトメールを見せてもらいました。はいはい、わかりました。「なんや、ややこしいアルファベット」ね。MOVA(ムーバ)君とFOMA(フォーマ)君でした。

要するに、母が当時使っていた携帯電話は「第二世代」規格用の携帯端末だったので、第二世代規格の通信サービス(MOVA)を終了することになった通信会社(NTTドコモ:以下「ドコモ」と省略)が「第三世代規格用の携帯端末(FOMA用の携帯端末)に変えて下さいよ」と、お知らせしてくれていたのです。

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、MOVAやFOMAとは、ドコモの携帯通信サービスのブランド名です。MOVAは第二世代規格、FOMAは第三世代規格に対応するブランドです。ちなみにLTEは「Xi(クロッシィ)」というブランド名で展開されています。だいたいこういうブランド名は、新たな通信規格がスタートしたころに端末のカタログの中や携帯ショップのスタッフの説明に出てきます。最初は私も何のことかわかりませんでしたが、お店のお姉さんが、「今はもうFOMAの方がつながりやすくなっているんですよね」と言いつつ、「MOVAが使える地域」、「FOMAが使える地域」と、ドコモの基地局らしきものをプロットしてある地図を見せてくれた時に気が付きました。

もちろん、ドコモ以外の通信会社にも独自のブランド名があります。LTEだと、KDDIは「au 4G LTE(エーユー フォージー エルティーイー)、ソフトバンクは「SoftBank 4G LTE」(ソフトバンク フォージー エルティーイー)というブランドです。

第一世代と第二世代

ここで携帯通信規格の第一世代(1G)と第二世代(2G)とにも少し触れます。ちょっと昔に(いえ、かなり昔?)、お金持ちの人のクルマや高級なタクシーには、「自動車電話」というものがありました。これが「第一世代」規格の端末の典型例です。この世代では、物理的にかなり大きい端末でした。知り合いの人が呼んだタクシーが自動車電話つきで、同乗させてもらった私たちは、宝物を見るような気持ちで眺めたことを覚えています。

第二世代では、かなり端末が小さくなりました。デジタル化もされています。PDC(Personal Digital Cellular System)という方式が使われていましたが、今のKDDIにつながる会社は途中からcdmaOneという別の方式へと切り替えました。

WCDMAとCDMA2000 (第三世代)

第三世代に入ると、世界共通の規格(IMT-2000)ができましたが、日本ではWCDMAとCDMA2000という2つの種類でした。前者はドコモとソフトバンク(とイーモバイル)、後者は第二世代のcdmaOneにつながることからKDDIが採用しました。「世界共通」とはいえ、日本には2種類の2G規格が混在していたので、海外に行く際には自分の持っている携帯端末は使えるのか、国ごとに確かめていた記憶があります。

今回は、3GとLTEの世代交代を実感した体験から、通信サービスのブランド名の話も織り込みつつ、携帯通信規格の各世代の簡単な説明をしました。すでに次世代の5G規格統一の議論が始まっている、との報道もあります。少しでもみなさんに携帯通信規格に興味を持っていただけたら光栄です。それでは、また次回お会いしましょう。


神山真紀子(かみやま まきこ)

会議通訳者。得意分野は通信、ネットワーク系。最近増えてきたのがIR。他に製薬、生保、金融、IT、ファッション関係も多数。通訳業の前は、百貨店正社員として販売や売場ディスプレイ、特許事務所に転職し特許事務の後に特許翻訳へ。高校時代は英文科に進学希望するクラスメイトが異星人に見えるほど英語に興味がなかったが、大学の教養科目の英語で面白さを知り、専攻を西洋史から英米文学に変更。趣味はメジャーリーグと女子フィギュア観戦。