【第5回】マインドアスリートのための健康への道「長時間の姿勢編」

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こんにちは!スポーツ栄養士の佐藤樹里です。

暑さも続き、夏バテになっている方はいませんでしょうか?

カラダの土台を作って健康的な毎日を送るためには、根本となる食をきちんと整えていく必要があります。

食べないよりは、ソーメンや冷やしうどんなどのさっぱりとしたものからで良いのできちんと食事を摂るようにしましょう。

さて、今回は栄養のお話とは少し離れてしまいますが、健康という観点からのお話をさせていただこうかと思います。

 ▶長時間座ったままで通訳することの健康へのリスク

通訳者の皆さんは一定の時間は通訳に集中し、動くことができないですよね。

自分のタイミングで休憩なども取ることができずに時には数時間以上も長い間同じ姿勢で居続けなければならないことも…脚のむくみ、肩こり腰痛などの症状も出てきますよね。

ずっと同じ姿勢でいるということは飛行機でよくあるのですが、エコノミークラス症候群の発症にもつながります。じつは飛行機に乗っている際だけでなく日常生活で、特にずっと同じ姿勢になっていて血流が悪いと発症する方もいるそうです。

例えば長距離の車の運転手ですとか…通訳者のみなさんも飛行機ほど長時間座っていることはないとは思いますが、似たところもあると思いますので、知識を身につけて予防につなげましょう。

▶エコノミークラス症候群ってなに?

そもそも、エコノミークラス症候群という単語はよく耳にしたりしてご存知かと思いますが、実際にどういう症状でどういうメカニズムで発症するのでしょうか?

エコノミークラス症候群とは、血流が悪い下肢に出来た血栓が、肺や心臓の血管を詰まらせる病気で、血栓症を発症した時におこる病気です。

脚の太い血管は深部静脈と言うのですが、動脈に比べると血圧が低くなり、脚を動かさないと血液の流れが悪くなりやすいのです。つまり、長時間足を動かさないことや、足の血流が滞ることによって血栓ができやすくなります。

また、水分補給を怠ってしまうなどで、血液中の水分が不足すると血液がドロドロになり、血栓がさらに生じやすくなります。

そのような(血栓が生じた)状態で急に立ち上がったりすると(一気に)血流がよくなり、血栓が剥がれ落ち、静脈から肺へ運ばれて、血管に血栓が詰まり苦しくなる、というメカニズムで発症するのです。

▶予防するにはどうすればいい?

血栓ができやすい静脈は、心臓に戻る血液が流れる血管です。座った姿勢では足は心臓よりも低い位置にあるため、心臓に血液を送るためには特にふくらはぎの筋肉が充分に収縮し、ポンプの働きをする必要があります。そのため、むくみがひどい女性は特に、足・ふくらはぎの筋肉を動かす運動をするのがよいでしょう。

1.ふくらはぎの運動を行う

交代時間や休憩時間に立ってその場で足踏み、またはつま先立ち運動を数回行うだけでも血流を改善する効果があります。

カーフレイズも効果的です。簡単にいうと、背伸びをするだけでできます。

自分の体重を利用し、足首の柔軟性をあげて血流もよくすることができる簡単メニューです。

  • かかとを浮かせてつま先立ちの状態になります。
  • そのまま10〜15秒間キープ
  • ゆっくりと地面にかかとを戻します。
  • 3セットほど繰り返しましょう。

負荷を増やしたければ、階段や段差などに足先を乗せ、かかとを宙に浮かせてかかとをゆっくり上下します。また、片足ずつ行っても有効です。

2.水分補給を心掛ける

エコノミークラス症候群の原因の一つは、コーヒーなどの摂取による利尿作用が働き、飲んでいるつもりなのに脱水症状になっているため、水分不足になり血流がドロドロとしていることです。コーヒーはカフェインの作用で集中力がつき目が冴えるといわれていますが、水分を一緒に摂る方がよいでしょう。

また、身体を動かさない場合は喉の渇きを感じにくくなりがちです。

ですので、冷暖房が効いた室内では水分補給を特に心掛けてください。

3.冷えを予防する

膝下や足先の冷えは下肢の血流が悪くなっている証拠です。冷えはタンパク質不足でも発症します。夏はソーメンやトウモロコシ、アイス、ビールなどの糖質がメインのものを食べてしまいがちなので、タンパク質も意識して、食べて冷えも予防しましょう!

▶すっきり姿勢改善!肩こり予防ストレッチ

前半ではむくみの観点から下半身メインについてお伝えしました。長時間座っていると、脚のむくみだけでなく上半身の肩こりや腰痛もおこりますよね。

その状態だと姿勢もよくなくなるし、姿勢がよくないと意識も沈んで通訳の際の集中力も乱れてくるものです。

そこで、通訳の間のちょっとした休憩時間で簡単にできる!

肩こりに効くストレッチをご紹介いたします♪

 肩甲骨ストレッチ

  • 肘を曲げて両手を外側に向ける。両側を壁で挟まれるイメージ。
  • 肩と肘から背中側に引き、ぐっと肩甲骨で背骨を挟むようにする。
  • その姿勢のまま、息をすいながら両手を上にあげていく。
  • 息を吐きながらゆっくりと肩甲骨が背骨を挟むように元の姿勢にもどる。
  • これを10セットほど繰り返す。

これをするだけで肩甲骨周りの血液の循環がよくなって温かくなり肩周りもすっきりし、姿勢もよくなります。

ずっと座ってばっかりで姿勢が悪く猫背になっているなと感じたときに、パッとできるストレッチですので日頃から行いましょう!

▶集中力がなくなり疲れてきたときのチョコっていいの?

疲れてくると、チョコなどの甘いものが食べたくなるときってありますよね。

これって実際いいのかわるいのかどっちなのでしょうか?

脳のエネルギー源であるブドウ糖がチョコからは摂れるので、ちょっと疲れたときにチョコレートを食べることは脳の疲れもとることに繋がります。

また、カカオに含まれる香り成分には幸せホルモンのエンドルフィンを放出する効果があり、これによりホッとリラックスでき、集中力を高める効果があります。

ですので、集中力を特に高めたいときにチョコレートを食べることで効果があるようです。

ただ、ダイエットを気にしている人にはブラックチョコレートやカカオ70%などのビターなチョコレートを選ぶようにしましょう。

いかがでしたでしょうか。

座り姿勢のまま長時間集中しなくてはいけない通訳者のみなさまは特に、頭が疲れたなーと思ったときにはリフレッシュもかねてストレッチをしましょう!

さらにはリラックスするためにチョコレート1粒食べて気分転換をするというように、オンとオフのスイッチの切り替えを行って集中力を高めていきましょう。


佐藤樹里(さとう じゅり)

水泳インストラクター兼管理栄養士として勤務。その後フィリピン・カナダへ約1年渡航。現地のブランチレストランでカナダ人のシェフと共に働く。帰国後はアスリート向けの食堂と老人ホーム厨房にてWワークを経て独立。現在はスポーツイベント開催、アスリートへの栄養講座、栄養個別サポート、アスリート向けの米なし炒飯“ Vチャー” の開発などを行う。

アスリートの明日とDREAM(夢)を叶える!アスドリファクトリー代表。

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